再開×試験×家族

 

 

 

 

ゼノさんに稽古をつけてもらっているとキルアが入ってきた。

 

 

「菜々実!!ゴン達が試しの門を開けたらしいぜ!!」

 

 

待ってましたと目をキラキラさせて走ってきた。

私は慌てて四聖獣をしまう。

 

 

「キルア!!!
急にとびだすな!!!!」

 

 

私が一喝するとビクッと身体を震わせる。


「ごめん・・・。」

「今回だけやで。もーいいから。」

 

 

シュンと小さくなってしまったキルアん頭をなでた。

 

 

ゼノさんとの稽古の時は、お互い念能力を最大限の状態で使用するから、入る前に必ず一声かけてもらう様にみんなに頼んである。
 

 

そーじゃないと私たちの技が直撃してしまう可能性がある。

 

 

更に私のオーラは底なし。
威力ではゼノさんの比じゃなくなってきている。

「菜々実の攻撃を受けたら一溜まりもないからの。
キルアお前のように念を使えない物は余計にじゃ。
この部屋にはシルバか緊急の時のみイルミには許可を出しておる。」

「わかってる。ただ嬉しくて。早く菜々実に教えたくて。」

「知ってる。だからもういいよ。
ゼノさん今日もありがとうございました。
出発の用意もあるので失礼します。」

「ああ。お疲れさん。
たまにはここへ帰って来て手合わせをして欲しいもんじゃな。」

「喜んで。キルアが天空闘技場にいる間ちょこちょこ来てもいいですか??」

「いつでもおいで。」

 

 

そう言ってゼノさんは頭をなでてくれた。

私とキルアはゴン達との再会の嬉しさを胸に出発の準備を始めた。

準備を終えて広間に向かうと既にゴン達がソファーに座っていた。

 

 

「ゴン!!!」
「キルア!!!」

お互いに駆けでしていく。

久しぶりの再会に喜びいっぱいだった。

 

 

「明日の昼出発してはどうだ?」

 

 

奥に座っていたシルバさんが提案した。

 

 

「折角だから一晩くらいいいじゃん!」

 

 

キルアは嬉しそうに誘うと、3人は嬉しそうに提案に乗った。

 

 

「やったー♪」

 

 

私が喜ぶとキルアがむっとした顔をしてこっちを睨む。
 

 

 

「お前は親父達と稽古出来るから喜んでるだけだろーが!」

そう言ってでこピンをされる。

「痛い・・・。
だって楽しいんやもん・・・。
技も増えたし、オーラのコントロールも覚えてきたし・・・。
もーすぐシルバさんに勝てそうなんやもん・・・。」

「はっはっはっはっは!!!!!
確かに後数日後にはやばかったかもしれんのぉ?
シルバ?」

「確かに。このゾルディック家を脅かす奴なんてお前ぐらいなもんだぞまったく。」

 

 

そう言ってゼノさんとシルバさんは大笑いをしている。

 

 

「菜々実そんなに強いの??」
 

 

 

ゴンが私に駆け寄ってくる。

 

 

「そうだね。俺が見ても今じゃヒソカの数倍・・・。」

 

 

イル兄が仕事に向かう準備を済ませて広間にやってきた。

「「「ヒソカの数倍!!!???」」」

人は声を重ねて今にもひっくり返りそうな態勢になっている。


 

 

「ん~ヒソカの本気を見てないから私は何とも。」

「よく言うぜ。
俺なんて本気の状態の菜々実になんて半径200メートル以内に近づけねぇーし。」

「ん~それはしょうがない。
まだ念覚えてないから。
キルアも天空闘技場で頑張ろう。
その代り、わたしはキルアみたいな身のこなしはできひんからうらやましいし。」

 

 

私はそう言ってキルアの背中を軽く叩いた。

 

 

「じゃ!積もる話もるやろ??4人でゆっくりしてて。」
 

 

 

私がそう言うとキルアは何にも言わなくても私の行動がわかっているのか
後ろを向いたまま手を振った。

私はシルバさんと目が合うとシルバさんは頷いてくれて席を立つ。
私とシルバさんとゼノさんは稽古の為に部屋からでた。

 

 

「菜々実、この先キルアとどうするつもりだ?」

 

 

シルバさんは稽古室に入るなり真剣な表情で私を見据えていた。

 

 

「とりあえずキルアとゴンに念の修行をしてもらう。
その後はたぶんちょっとだけ離れる事になるかも・・・。」

「離れるとは?」

 

 

意外だという顔でゼノさんが聞いてくる。

「とりあえず9月にヨークシンのササンピースオークションに参加するからそこで集合になるかな。
私はぎりぎりまで天空闘技場で貯金増やすつもりやから。
キルアはたぶんゴンの育ったクジラ島にでも良い機会やから一緒に帰らすつもり。」

「サザンピースで何か欲しいものがあるのか??」

「うん。予想価格が30億やからそれの3倍くらいはもっとこうかなって。
まー当分の生活費と飛行船も欲しいし・・・。」

「はっはっは。
そりゃかせがねーとな。
うちの仕事を何件かバイトでもするか?
今のお前なら簡単だろう?」

「シルバさん(笑)
気持ちはありがたいしきっとてっとり早いけど、それじゃキルアがね・・・。
この仕事が嫌で家を出るって言ってるのに私がするのはどーかと・・・。」

「と言うことは菜々実は殺し屋稼業は嫌ではなんじゃな。」

「私はゼノさんと一緒で仕事って割り切れるから。
もし困った場合は回してもらいます(笑)」

「その時は頼りにしておるぞ(笑)」

3人で笑いながら雑談した後最後の稽古に入った。

ゼノさん・シルバさんvs菜々実

私のゾルディック家での最終試験が始まった。


 

 

 

★☆★☆★

 

 

 

 

俺達は広間で最近の報告やら雑談をしていた。

 

 

「ね~キルア??菜々実どこいったの?」

「あ~あいつなら親父とじぃちゃんの3人で稽古部屋だと思うぜ?」

「「「稽古部屋??」」」

「ここに来て1週間くらいになるんだけどさ、朝・晩は4時間づつくらいこもってる。
始めの2日くらいは生傷いっぱいでさ。
中盤は俺が寝てから部屋に帰ってきたそのまま朝まで爆睡。
ここ2日くらいは部屋帰って来ても結構元気だけど。」

 


俺はゴン達が目を丸くして固まってるのも気にせず続けた。

 

 

「俺なんて稽古中に入って行ったもんなら菜々実にどやされるんだぜ?」

「あはははは・・・。
ヒソカの数倍ってのはほんとなのかよ!?」

「うん。ほんと。
この前なんて親父が怪我して部屋から出てきた時はマジビビった。」

「天下の殺し屋一家が・・・。」

「レオリオ、ビビり過ぎ(笑)
でも普段はあのままだぜ?
まー昼間ミケと遊んでる時は俺選択間違ったかと思ったりもするけどさ。」

「ミケと遊ぶ!?
ミケってあのミケ?」

「そうあのミケ。
あいつ試しの門開けた後、ミケにここまで連れてこさせてたから。
親父なんて腹抱えて笑ってたっての。」


ため息まじりにおどけてみても3人とも顔が青い。

確かに菜々実の強さは今じゃ人間離れしてる。
俺自身かなり戸惑った。
ハンター試験受ける時には死ぬ~ってわめいてたのに。
トリックタワーで再開した時は雰囲気が違っていた。

実際兄貴との試合は訳がわからなかった。
でも迎えに来て話を聞いて今じゃ納得もできる。
スタートは遅くなったけど必ず追いついてみせる。

 

 

「明日の朝餌やりしに行くから着いて行って見ろよ。
ミケが普通の犬にみえるから(笑)」

「やっぱり菜々実はすごいや。」

 

 

ゴンはキラキラした目をしている。

 

 

「キルア、菜々実を部屋まで連れて行ってやれ。」

 

 

突然じぃーちゃんが広間に戻ってきた。
その姿を見て唖然とする。

じぃーちゃんはぐったりする親父を抱えて部屋に入ったきた。
俺は嫌な予感がして広間を飛び出した。

後ろからゴン達が何かを感じてついてくる気配を感じた。


「菜々実!!!」

扉を開けると同時に菜々実の姿を探す。


「キルア~~~~~」

かすかに菜々実の声がする。
声のする方を見ると壁にもたれてぐったりと座っている菜々実がいる。

 

 

「何があったんだよ!!!?」

 

 

駆け寄ってみると左肩から出血している。
服も所々破れていた。

「ゼノさんとシルバさんと最後のテストしたらシルバさんと相討ちになってもて・・・。」

「本気でやったのかよ!」

「うん。お互い殺す気やった。
あはは・・・。」

「この馬鹿!!!」

 

 

言葉とは裏腹にそっと菜々実を抱きかかえる。

 

 

「とりあえず部屋戻って傷の手当しよう。
その後風呂。わかったか?」

「うん。
お風呂・・・。入れるかな?」

「俺一緒に入ってやるから。」

「うん。お願。」

 

 

 

々実のその言葉に傷の深さが想像できた。

一緒に入るのを断り続けられてたからだ。

そんな菜々実が一緒に入るということはきっと身体も洗えないほどの深さのはず。
入口で固まっている3人に大丈夫だと告げて部屋へと連れて行った。


 

 

 

 

★☆★☆★

 

 

 

 

私はキルアに抱えられて部屋へと戻った。

ゴン達は心配そうにソファーに座ってこっちを見ている。

ベッドに降ろされるとそのままキルアに服を脱がされる。

 

 

 

「3人ともこっち見るなよ。」

 

 

 

キルアはソファーに向かって言う。

 

 

「!!!!!」

 

 

キルアは私の背中を見て言葉を失っている。

 

 

「菜々実・・・。お前この傷・・・。」

「あはは。
バレた?なんせ相手はゼノさんとシルバさんやから。
この程度ですんでてラッキーなくらいやと思ってる。」

 

 

苦笑いを浮かべて振り返る。

 

 

「この程度って傷かよ!!
何考えてんだよ!!
下手すりゃ腕落ちててもおかしくないぞ!!」

「うん。シルバさん腕落とす気でいたとおもうから。」

「なんでそんな真剣勝負したんだよ!!?」

「私が勝てたらキルアを自由にするって約束やったから・・・。
私の実力も認めてくれるって。
そしたら・・・。そしたら将来の事とかも・・・。」

 

 

 

だんだんと声が小さくなってしまう。

キルアはなんにも言わずに携帯でゼノさんに電話してくれた。

しばらくしてお医者さんが来て傷口を縫ってくれた。
傷は幅15センチ深さ2センチにも達していた。

ほとんど左腕は動かせない。

あれからキルアはなんにも話してくれない。

 

 

 

「キルア。怒ってる?」

 

 

キルアの背中に向かって話しかける。

 

 

「怒ってる。俺に黙ってあんな無茶しやがって。
でも・・・。そうやって菜々実に守ってもらってる俺自身に腹が立つ。
絶対、絶対に追いついてやる。
守られるんじゃなくて俺が守れるように!!」

「待ってるから・・・。」

「ああ。約束する。」

「うん。」

 

 

やっとキルアは私の顔を見てくれた。

 

 

「さっ!風呂はいるぞ!!」

「え~~~!!!マジで入るんですか・・・。」

「そんな汗と血だらけで言ってろ!」

 

 

 

キルアはそう言うと私を抱え上げてお風呂場へと向かった。

 

 

「嫌ぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!!!!」

「こら!暴れんなって!」

「だって~~~~!!!」

「自分で洗えないだろーが!」

 

 

お風呂に一緒に入るだけでも恥ずかしくて嫌なのに
今私はキルアに身体を洗われている。

う~~~ 恥ずかしくて死ねる///

 

 

ここが地下なのかそうじゃないのかなんて分からない。

周りは岩に囲まれて、大きな岩盤をくり抜いた様なお風呂場。

 

一体こんなに広く作る意味はあるんだろうか?

と思うほどの広さ。

その真ん中にこれまた巨大な岩風呂。

 

ミケも一緒に入れそうな大きさ。

お湯はるだけで何時間かかるんだろう?

なんて初めて入った時は思ったけど、今はそんな事なんてお構いなし。

 

 

ただ動かせない片腕が憎たらしくてしょうがない。

 

 

「お前な~ちゃんとスポンジで洗ってやってるんだから
まっしだと思えよなぁ。」

キルアはため息を吐く。

「まっしってこれのどこがまっしなんよ!!」

「お前が怪我なんてしなかったらスポンジじゃなくて俺が素手で洗ってやったのに。
あ~残念。」

「スポンジで洗って頂きます!!」

は諦めて椅子に座ってキルアに身体を預けた。



口ではふざけた事を言いながらもキルアは丁寧に私の身体を洗ってくれた。

 

少しでも傷が痛くない様に。

丁寧に丁寧に汗と体中に付いた血を洗い流してくれた。

 

 

 

 

 

「いっっっっっ!!!!!たぁぁぁぁぁ!!!!」

「当たり前だろーが。」

「だって・・・。」

「そんだけ生傷あったら痛いに決まってるだろ!
ば~か。
身体中に切り傷・擦り傷何十箇所あるんだよ。
俺の顔痛そうとか言ってた奴の身体かよ。」

私は何も言い返せなくてプイッとそっぽを向いた。

 

 

「だって・・・。」

「ほら、浸かるぞ。」

 

 

キルアはそう言って私を抱き上げて湯船に浸かる。
2人で入るには大きすぎる岩風呂。

「自分で歩けるのに。」

「ダーメ。今日は歩かしてやんない。
左足もくじいてるくせに。」

「そこまでひどくないもん・・・。」

「まったく。無茶しすぎだつーの。
心配させるなよ。」

「ごめん・・・だって・・・。」

「わかった!もう怒らねーよ。
そのかわり今日は言うこと聞けよな。」

「はい。でもだからってこれは・・・。」

キルアは私を自分の膝の上に向かい合わせで座らせている、

「良い眺め。」

「/////お粗末さまです・・・。」

「で、ところで結局どっちが勝ったんだよ?」

「わからん・・・。ゼノさんにストップかけられた瞬間気失って・・・。
キルアの声で気がついたから。」

「そっか。
上がろうぜ。みんな待ってるし。」

「うん。」

 

 

 



お風呂から上がった私達は着替えて広間へと向かった。
もちろんキルアに服を着せてもらって・・・
 

 

 

「菜々実!!」

 

 

 

部屋にはいるなり心配そうな表情でゴンが慌てて駆け寄ってくる。

 

 

「ゴメンな心配かけて。
大丈夫やから。」

「歩けないのか!?」

「ううん。歩けるんやけど、今回のお仕置きらしい。」

「あはははは・・・。」

 

 

 

私はソファーにそっと降ろされた。

 

 

「それよりゼノさんとシルバさんは??」

「あっち。」

 

 

 

レオリオが奥の部屋を指さす。

 

 

 

「ちょっと行ってくる。キルア歩いていい?」

「ダメ。」

 

 

 

そう言われて私は黙ってキルアに向かって両腕を前へ出した。





「ゼノさん・・・。」

「おめでとう菜々実。」

 

 

そう言ってゼノさんはお酒の入ったグラスを差し出してくれた。

 

 

「え???」

「なにほうけてるんだ。
お前の勝ちだ菜々実。」

 

 

 

後ろを向いていたシルバさんが振り返った。

 

 

「見事だったな。まっギリギリだったけどな。」

「え?じゃー私の勝ちなら・・・。」

「ああ。キルアは好きにするといい。
それからお前も俺の家族だと思わせてもらうぞ。」

「え?」

「いつでも帰って来い。キルアを頼んだぞ。」

「シルバさん!!!!」

 

 

 

私は嬉しさのあまりキルアの腕の中からと飛び降りてシルバさんに飛びついた。

 

 

 

「まーまー仲の良い親子だこと。」

 

 

 

私の手土産の扇子で口元を隠したキキョウさんとこれまた帯締めを締めたカルトちゃんが並んでいる。

 

 

 

「妹なんだか姉なんだか。」

 

 

 

ミルキがおやつを食べながら呆れた顔をして立っている。

 

 

 

「俺からしたら妹で問題ないからややこしくなくていいや。」

 

 

 

仕事を終えたイル兄までもが顔を出してくれた。

 

 

「キルア!!
やった~!!」

キルアに飛びついた。

 

 

「うわ!!!」

 

 

反動でそのまま後ろに倒れてしまう。

 

 

「えへへへへ。」

「いたたたたたぁ。
急に飛びつくなって。」

「まーそんだけ元気なら問題なさそうじゃな。」

 

 

 

そう言ってみんなが笑っている。
心配してくれていた事が嬉しくて、ちょっと申し訳なくて。

みんなの笑顔に苦笑いで答えた。


 

 

★☆★☆★

 

 


「いってらっしゃいませ。」

「いてっきま~す!!」


私たちは翌朝ゾル家のみんなに送り出され、新しい試しの門の前でゴトーさんとゼブロさんに挨拶して空港へと出発した。

遠くでミケの遠吠えが聞こえる。


「菜々実達はこれからどーするつもりなんだ?」

「とりあえずゴンとキルアには天空闘技場で実践訓練と修行をしてもらう。
私も引き続き資金集めするつもり。」

私達はお互いの今後の行動を報告した。

みんなの目的は違う。
これから先は個人の夢・希望。
そんな優しい言葉では済まされないような現実が待っている。


「じゃー一旦ここでお別れやな。
次は9月1日ヨークシンで!ってか?」

「そーか。じゃーみんな元気で」

「クラピカ待って!ちょっとこっち。」

 

 

私はクラピカをみんなから少し離れた場所に呼んだ。

 

 

「旅団の事なんやけど・・・。」

 

 

クラピカは目を見張る。
真剣な表情で私の次の言葉を待つ。

 

 

 

「言いたい事がいっぱいある。
でもきっと言ったらあかん事なんやと思う。だから最低限の事だけ2つ。

まず1つ。

1人で済ますつもりなのは分かってる。
クラピカの個人的な問題やって。でもそれでもゴンやキルアはクラピカを心配してるし力になりたいと思ってる。
必ず9月までに実力は付けさす。だからあの子達の気持ちも汲んであげて欲しい。
2つ目。

私はクラピカに復讐で人殺しはして欲しくない。
出来れば殺さずに蜘蛛を大人しくさせる方法を考えて欲しい。
たとえば念を封じる・・・。
これ以上は言えんってか既に言いすぎてる(笑)」

「菜々実・・・。ありがとう。お前達の気持ちはわかった。肝に銘じておく。」


「よろしく。あっ!!やっぱり3つ!!
私は全力で関わるから覚悟しといて。」

「だが・・・」

「ダメ!絶対関わる!クラピカを閉じ込めてでも関わる!
はっきり言って今あいつらとまともにやり合えるのは確実に私だけ。
でも私は誰も傷付いてほしくないし、傷付けてほしくもない。
綺麗事ってわかってる。

でも、私は大事な人が傷付くなんて耐えられへ。
自分に止める力があるなら尚更。」

「菜々実・・・。
気持ちはわかる。私だって同じだ。みんなが傷付くのがわかっていながら関わらせたくない。
少し時間をくれないか?
必ず9月までには連絡を入れる。」

「わかった。約束な。」

 

 

私はクラピカと指きりをした。
この笑顔を失いたくない。あんなつらい顔させたくない。


今がは2月中旬。
ヨークシンまでは半年ちょっと。
 

 

ゴン達は天空闘技場にいるのが7月中旬。
 

 

G・I に入るのが9月上旬。
 

 

クリアするのが今から1年後の3月・・・。
 

 

大丈夫、出来る事はいっぱいある。

 

そんな事を考えながら
私は天空闘技場へと向かった。






私はまだ気づいていなかった。
これから先、私に起こる大きな出来事が少しずつ足音をたてて近づいている事に・・・。

 

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