9 幕間2 イルミとあの人!

 

 

 

 

「俺の依頼人って……」



「うん。ボ・ク



「帰ろうかな」



妙だと思った。



普通、殺しの依頼というものは人目を避けた場所で行われるものだ。



依頼人が面会を希望する場合は、特に。



日曜の午後。



都内の公園にあるオープンカフェで待ち合わせ、なんてことはあり得ない。



「悪いけど、話は日を改めて聴くよ。じゃあね、ヒソカ」



「待てよ久しぶりに顔を会わせたのにそれはないんじゃない?」



「俺、今すごく忙しいんだ。本当なら、家を離れたくなかったのに」



「そんなにポーのことが心配?」



「……」



どこかから情報が漏れている。



この男の張りつけたような笑顔から直感した。



「ゴンがねポーのことが心配だな
って言ったら、教えてくれたんだ。花嫁修業のことも……色々ね



「……余計な真似を」



「そう言うなよボクだってあれからずっと、ポーとキミのことは気になってたんだ。友達がいのないキミは、ろくに教えてくれないし……」



「友達?」



「……」



「ねえ、ヒソカ」



「なんだい、イルミ



「この前、ゴンがキルの友達になるためにゾルディック家に来たよね。そのとき、ヒソカもこっそり忍び込んで、どさくさに紛れて親父とゼノじいちゃん相手に戦っていっただろ」



「うんあれは楽しかったな久しぶりに120点越えと戦えて、いつもよりハッスルしちゃったけど……それがどうかした?」



「そのとき、自分は俺の友達だって言ってたよね。ヒソカは俺の友達なの?ビジネスパートナーじゃないの?」



「さぁね正直どっちでもいいと思ってるけど、イルミこそボクと友達になりたいの?」



「さあ……?」



問われて、首をかしげる。



おかしいな。



「……あれ?おかしいな。なんで俺、こんなこと聞いたんだろ」



「いいよ



「え?」



「要するに、イルミはポーを助けたいんだろ?万が一、彼女が花嫁修業に失敗して、命が危険にさらされたとき……そのときは、ボクも手を貸そう



こっくり、俺は頷いた。



ここまで読まれていたとは。



きっと、依頼人との顔合わせなんてものは口実で、ヒソカは今日、このことを話すために俺を呼び出したのだろう。



恐ろしい勘、そして、考察力だ。



「ひとつ、貸しだね」



「いらないよ


「……?」



「友達は貸しなんてつくらないもんだろ?」



「そうなんだ?便利だねー」



「クックックッ!!でも、せっかくだからここの支払いはお願いしちゃおうかな?ストロベリーパフェもう一個頼んでいい?」



ニヤニヤ笑いの赤毛の男に、たっぷり10秒考えて結論を出した。



「ダメ」