「トモ!!」
「ヒソカさ……」
シュパーン!
ビスカ森林公園二次試験会場前。
すさまじい勢いで駆けよってきたヒソカさんは、目にも止まらない早さでイルミさん……もとい、再び変装したギタラクルさんの腕から私を奪いとった。
うーん……嬉しいやらビックリするやら。
「大丈夫かい!?ギタラクルに護衛を頼んであったから、てっきり先に到着してるものだと思ってたのに★いつまで経っても来ないから心配したんだよ……!」
「ヒ、ヒソカさん……!?苦し……!!」
そのまま、思いっきり抱き締めて頬擦りなんかするもんだから、く、首の骨があああ……!!
嬉しい!!
嬉しいけど痛い!!!
ドカッ!!
「あうっ!★」
「え……?」
気がついたら、ヒソカさんがのけぞっていた。
アゴには小さな小さな靴の跡。
これは……。
バッ!
ポケットを見る。
『★』
「こらあ!ヒソカさんっ!!横っちょ向いて可愛くすっとぼけてもダメですよ!!ヒソカさんはヒソカさんなんだから、本物のヒソカさんに酷いことしないで下さいよ!!」
「……ト、トモ?」
なんのこっちゃ、と言う顔で、私の胸ポケットをのぞきこんだヒソカさん(大)
は、そのまんま、コチンと固まってしまった。
うん。
それはそうだよね。
「……トモ★」
「はい」
「なんなのコイツ」
「ちびヒソカさんです」
「カタカタカタ(驚いただろ?)」
ぬっと、私の背後から手を伸ばす、長身の針男。
ポケットの中でニヤニヤ笑うちびヒソカさんの首根っこを、ひょいっとつまみ上げ、
「カタカタカタカタ……(こいつさー、この子が念で作ったみたいなんだよね)」
「……ギタラクル。それ、本当?」
「カタカタカタカタカタカタ……(うん。オーラを使って描いた絵から生まれたみたい。さっき、君が殺しそびれた悪漢が三人、この子を襲ってたんだけど、そいつらの指や舌を切り刻んでたよ。見た目は大福餅みたいだけど、身体能力はオリジナル並だ。あと、性格も)」
言いながら、横五ミリ、縦一センチくらいのトランプの応酬を華麗にかわすギタラクルさんである。
この二人、実は仲悪いのか……?
「悪漢三人……★」
はう……!!
相変わらず、抱き締められっぱなしだった私の顔をじいっと見つめていたヒソカさんが、笑った。
それはもう、恐ろしいほどの満面の笑みで!!!
バレた!!!!!!!
「ごごごごめんなさいごめんなさいごめんなさいぃぃっ!!私、どーしても心配になっちゃって……!!」
「ボクの後を追ったんだ?……イケない子だなあ……あいつらの残党に襲われたってことは、憂さ晴らしに殺されかけたんじゃないのかい?こんな風に……★」
「ううっ!!?」
ひゃああああああああっ!!!!??
にっこりにっこり笑いながら、やさーしく頭を、髪を、頬を撫でてくれていたヒソカさんの手が、首にかかる!!!
殺されるう――――!!!!
ジリリリリリリリリリ!!!!!!
はっ!?
試験終了のベルの音だ!
「……やれやれ。仕方ないなあ★トモ。この場は見逃してあげるけど、後でじっくりお仕置きだからね」
「……はい」
ムッキムキの身体から溢れだすオーラと、有無を言わさないド迫力に、とりあえずガクガク頷くしかない私なのであった……。