キルアの出て行ったドアをみながら、少し私は反省をしていた。
この状況を知らずに誘ってきたキルアに悪気はない。
そんなキルアに半分八つ当たりの様に私は怒鳴ってしまった。
反省しつつも手元のファイルを見ながらため息が漏れた。
「さっ!愚痴っててもしょうがない!さっさと仕事片づけな来月も同じくらいになるし。
準備しよう。」
携帯を取り出してジェットと飛行船のパイロットに準備を頼み、ゴトーさんに2週間ほど不在にする事を伝え、部屋に戻って軽く準備をすると、ジェットに乗り込んだ。
結局その間キルアに会う事なく出発した。
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ミルキに頼んでターゲットの情報を収集してもらい、それを移動時間に目を通して、プランを練り、お風呂と仮眠を取っては仕事をする。
そんな事を2週間繰り返して、何とかやり過ごしていた。
「やばい…流石にしんどい…」
さらに合間に協専の仕事である一般立ち入り禁止区域の環境調査の取りまとめをしていた。
「ここ数日まともに睡眠を取っていらっしゃらないんでは?」
疲れた体に優しそうな、ふんわり卵の入った雑炊を持って心配そうな顔をしているギルさん。
「なんとか大丈夫。」
そう言って笑顔を見せるとさらに心配そうな顔をしながらも、丁寧に頭を下げて下がっていった。
最初の契約から数年。
私はギルさんを気にいって私専属として雇っていた。
私が仕事でジェットや飛行船に乗る時は必ず彼が一緒である。
今回は私が乗船する方にギルさんがパイロットを兼任して乗るのが当たり前になっていた。
私好みの雑炊をぺろりと完食して、ベッドに寝転がると、携帯が鳴った。
「もしもし?」
『やぁ。仕事は順調?』
「なんとか(笑)イル兄の方は?」
『こっちもなんとか終わりそうかな。』
「ごめんな。手伝ってもらって。」
『いいよ。それよりあれからキルと話した??』
その言葉に私は黙りこんでしまった。
『ふ~ん。話してないんだ?』
「うん。」
『でもそろそろ一旦帰ってくくるんでしょ?』
「うん。もう1件終わったらそのまま帰るから、今晩帰れると思う。」
『そう。じゃー夕食で。』
「うん。」
携帯を切った後、私は服を着替えて今日のターゲットの元へ向かった。