私とキルアは朝食を終えると、さっきのクワガタを見つけた場所へとやってきた。
「このへんやったと思うんや。」
「こんなところにいたのかよ。
昔はこの辺もウロウロしてたけど最近はまったく来てないや。」
「そーなんや。
ここはミケがつれてきてくれたんやで♪」
私はそう言いながらあたりの木を見渡してみる。
すると木の樹液が染み出す場所がいっぱいあった。
それを見たキルアはなにかゴソゴソとしている。
「何やってんの???」
「仕掛けしてるに決まってんじゃん♪」
「仕掛け?
普通に見つけて取ればいいん。」
「馬鹿だな~仕掛けといた方がいっぱい捕れるに決まってんじゃん♪」
「そんないっぱい捕ってどーするん??」
仕掛けを付け終えたキルアは呆れた様な顔で私を見ている。
「なっ何よ…」
「奈々実、ペアで30万だぜ!?
そんなの売って小遣いにするに決まってんじゃん。」
「小遣いって…どーせチョコロボ君かゲームにきえるんやろ!!??
そんなお小遣いいりません!!」
私は仁王立ちで腰に手を当てながら言うとキルアは拗ねた様に私を見上げる。
「お前は俺のかぁ~ちゃんかよ!?
奈々実はいいよな。天空闘技場でせっせと貯めこんで酒に飛行船にって金使ってんのにさ。」
「私はちゃんと預金も残してます!!しかもちゃんと協専ハンターとして仕事もしてるし、ゾル家のバイトもしてます!!」
「バイトって所詮人殺しじゃん…。」
「この世の中依頼がある以上職種として成り立ってるものはしょうがないの!!」
「あ~~!!!!!
もうわかったから。
…後で覚えとけよ…」
最後のセリフがちゃんと聞き取れなかったがま~今日はこの辺で許してあげようか。
「なんか言った!?」
「何にも。
さっ仕掛けも終わったし早め飯食って夜中に来ようぜ!?」
「はいはい。」
私は楽しそうにはしゃぐキルアが内心は可愛くて仕方がなかった。
最近こんなに子供っぽいキルアを見ていなかったからだろうか?
こういう子供なキルアも好きな所の一部だったりもする。
(こんなに可愛いのにいざとなったら男っぽいんよな~)
そんな事を思い返しながら私たちは家へと戻った。
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「キルア~これどうしたらいい??」
私は手に持っていプラスチックの入れ物にいれたクワガタをキルアに掲げて見せた。
「おお~~超いっぱいじゃん♪」
サイズの大きいおかげで入れ物の中はなんとも言えない状況になっていた。
「うぅ~~可愛くないです…」
「元々可愛いもんじゃないだろ??」
「うん…でも…どっちかと言えば気持ち悪い…」
2人でまじまじと入れ物を覗き込みながら思わず苦笑いを浮かべた。
「まっ、朝までだって♪
朝一で売りに行こうぜ??」
「うん。よろしく。
お願やから同じ部屋で寝るのは勘弁して…」
「菜々実テンション低すぎ。」
「だって1・2匹なら『おぉ~!!』ってなるけど…」
そう言いながら少しげんなりした顔の私を見ながらキルアが少し困った顔をしていた。
「明日はゴンと2人で捕るからさ、菜々実ゆっくりしろよ。」
頭を撫でながらそう言ってくれた。
「いいの??」
「ああ。イル兄がまたバイト頼みたそうにしてたし。」
「え??バイトしていいの??」
私は昨日の出来事を思い出しながら少し驚いた顔をしていると、キルアは照れた顔を隠すように背を向けた。
「必ず終わったらすぐ帰ってくる事。それから、俺の知らない所で行くのもなし!」
「わかった。約束する。」
私は返事をすると同時にキルアの背中に抱きついた。
「お前は殺し屋じゃなくてハンターなんだから、それだけは忘れるなよ!」
そう言って振り向きながら抱きしめてくれる。
私はキルアの背中に手を回し、胸に顔を埋めた。
「クワガタ捕ってゆっくりしよう??」
「そうだな。せっかく菜々実が夏休みとったんだしな。」
2人で額をくっつけて笑った後、もう少しだけクワガタ捕獲にいそしんだ(笑)