「本当は危険だから行かせたくないところなんじゃが、鳴鈴実を一人にしてしまうのはもっと危険だ。
不本意だが鳴鈴実には大会に着いて来てもらう。
試合中はわしと一緒にオーナー席にいてもらうとするか。」
大会2日前。
霊界から様子を見にきたコエンマ。
「鳴鈴実は補欠として俺達の傍にいさせる。」
幽助はコエンマの意見に反した。
「昨日の夜みんなで話し合ってたんです。
オーナー席でもしもの事があっては対処出来ない。
そうですよね、飛影?」
蔵馬は意味ありげに飛影を見た。
「フン。そばに置いておくのが一番安全だ。」
そう言ってプイっと視線を逸らす。
「いーじゃねーか。
鳴鈴実が会場にいてくれた方が俺達も安心して戦えるし。
何かあっても必ず守ってみせっからよ。」
幽助はコエンマの肩に腕をまわした。
「鳴鈴実はそれでいいのか?」
みんなの視線は私に集中した。
昨日その話をしていたのは知っていたが、私は久しぶりにみんな揃っての夕食が嬉しくて、話そっちのけで張り切って台所で夕食の準備をしていた。
みんな私がどうしたいかは未確認のまま話を進めていたのだ。
「出来るならみんなのそばにいたいかな。
私もそれが一番安全だと思うし、それに役にも立てると思う。」
「だがあんな場所でお前が怪我人を治しでもしたら癒術師である事が大々的にバレて余計に危険になるではないか!?」
「遅かれ早かれ結局はばれる事だし。
でも私のそばには浦飯チームのみんながいるって認識付けが出来ると思うの。
人間界でも霊界でも、魔界でも。どの世界にいても誰かがいてくれるって。」
「それはそうじゃが…。」
「コエンマお願!!私はみんなのそばにいたい。」
私はまっすぐコエンマを見た。
「この1か月半、鳴鈴実にも多少の修行は付けたつもりだよ。」
黙っていた玄海さんが助け舟を出してくれた。
昼間の空いた時間に私は蔵馬や飛影、玄海さんは私に修行を付けてくれた。
そりゃ幽助や桑原君に比べたら遊びのようなものだったかもしれないけど、普通の人間やチンピラみたいな妖怪くらいなら自分で何とか出来るようにはなっていた。
「心配するな。
鳴鈴実は俺が守ってやる。一緒に来い。」
「俺達がだろ!?」
飛影の一言に桑原が突っ込んだ。
「お前が一番鳴鈴実の世話になるかも知れんな。」
飛影と桑原君がじゃれあい始めると、コエンマは少し考えると諦めたように好きにしろと言ってくれた。
こうして私は大会に補欠として会場入りする事が決まった。