「コエンマ話があるんだけど?」
そう言って勝手にドアを開けて部屋に入ると青い顔のコエンマとジョルジュがリングの上を見つめていた。
「鳴鈴実!?こんな時にお前どこにいっておったんじゃ!?」
「左京に拉致られて、一試合分付き合わされてた。」
「はぁ!?何ともなかったのか!?」
「ないよ。美味しいカクテルおごってもらって質問攻めにされてただけ。」
私はコエンマの隣に座るとリングを見つめた。
テントの中にいる飛影と目が合うと私は笑顔を向けた。
飛影は鼻で笑う様にあっちを向いてしまいながらも、一瞬口元が緩んでいた気がした。
「あっちに行かなくてもいいのか?」
コエンマはほっとした顔をしながら、この状況でなぜ自分の所に来たのか?と言う顔をしている。
「今は大人しくしてるけど、飛影あの結界からいつでも出れるよ。」
「なんじゃと!?」
「ふふ、ただ私が左京といたから出なかっただけで、何かあれば簡単にでてくる。その時私はそばにいたら邪魔になっちゃうから。
後はコエンマに話しておきたい事があったから。」
「わしに話?」
「うん。私にもしもの事があった時と言うか、この先の癒術師の話。」
「この先!?」
コエンマは全く想像を出来ないと言う反応を繰り返していた。
「大丈夫。悪い話じゃないから。大事な話になるからジョルジュ、ごめんだけど席はずしてもらえないかな?」
私は申し訳なさそうにジョルジュに言うと、さっと部屋の外に出て行ってくれた。