私は2ヶ月弱先の暗黒武術会に出場する為に修行に行ったみんなと離れて、森の中(玄海の敷地内)をコエンマとぼたんさんと散歩していた。
「嗚鈴実、お前が探していた守護者候補とは飛影の事だったのか?」
ずっと無言だったコエンマが沈黙を破るように話しだした。
「うん。」
「飛影は決して悪い奴ではない。だが、癒術師の守護者になる様な奴ではない。」
「私が飛影と会った時もさっきとあんまり変わらなかった。
それでも私は飛影がいい。
どんなに冷たい事を行っていても、あの人は一緒にいた時間、目は優しかったから。」
「嗚鈴実ちゃん・・・。」
「ぼたんさん、断られるってわかってる。
でも守護者としてじゃなくても側に居たい。」
「お前!」
コエンマは何かに気づいた様に私を見つめた。
「うん。それがあの人の為になるなら…。」
そう、私は守護者としてではなく妖力増幅の為の交わりを望まれれば受け入れるつもりだった。
「嗚鈴実!」
「そしたら私は守護者を持たない事になるかもしれない。
あの人意外と交わる気はない。癒術師としても、一人の女としても」
私は本気だった。
コエンマの真剣な眼差しを私は逸らすことなく受け止めた。
先に逸らしたのはコエンマだった。
「霊界はお前を失うわけにはいかない。
守護者はみつけてもらわなければ困る。」
「でも情を交わさない限り誰がいても契約は成立しない。
本当にダメなら、その時は…また考える!」
「俺から蔵馬に頼む。いいな?」
「分かった…と思う。あと、みんなには飛影が私の探していた守護者候補だって事は黙ってて欲しい。」
「わかった。」
「そりゃそうだね。」
「ごめんね、ぼたんさん。」
私は苦笑いでぼたんさんを振り返った。
「なにいってんだい。
この先私は嗚鈴実ちゃんの見方だよ!」
そう言ってぼたんさんは私を抱きしめてくれた。
こうして私の人間界での生活が始まった。