14 いざ、出陣!! ③

 

 

 

 

出発当日。

飛影達と一緒に行くのは危険と判断して、私は霊界特防隊の護衛の元、直接現地入りする事になった。


「じゃ~飛影・蔵馬・桑原くん後でね♪」

「ホテルで待っていろ。俺達が行くまで部屋から出るなよ。」

不機嫌そうに飛影が呟いた。

現地入りに関して自分達と一緒に連れて行くと言い張っていたが、最終的に私は自分から特防隊の護衛を選んだことを未だに根に持っていた。
確かに飛影の気持ちもわかる。
でもやっぱり邪魔にはなりたくない、結局渋々私の意見を尊重してくれた。

「忘れてもらっちゃ困るんだけど…。これでも私、妖力的にはS級なんですけど。
治癒に妖力がいらないなら放出したって問題ないから大丈夫♪」

そう言って私は体外に妖気を放出してみせる。
栗色の髪が金髪に変わると同時に禍々しい妖気が私を包むと、少し威嚇代わりに殺気を混ぜる。すると桑原くんの額を冷や汗が伝っていく。

「なっ何なんだよその妖気はよっ!!!??」

「さすがと言うべきかな。
治癒を行わない前提なら確かにS級クラス。
久々に見た気がするよ。」

「ふん。攻撃出来んなら意味がない。」

「う~…。
威嚇には十分だもん…。」

拗ねている飛影に冷たいく突っ込まれる。
その為に守護者が必要なのであって、自分で守れたらいらないもん…。

私は口を尖がらせていると、

「確かに観戦に集まってくる奴らには十分な威嚇になるでしょうね。」

蔵馬は優しく肩を持ってくれる。

蔵馬の後ろに隠れて飛影に向かってイヒヒと笑うと、フン!とそっぽを向かれてしまった。

私はしょんぼりしながら迎えに来てくれた特防隊と共に玄海さんの家を後にした。

 

暗黒武術会

闇の力を使い富を築いた裏社会の富豪や実力者が、それぞれ5名の魔性の最強メンバーを集め、バトルを繰り広げる、史上最悪の格闘技戦である。

この大会には『ゲスト』として、闇の世界と深くかかわり、裏社会の人間にとって、邪魔となる人間が強制的にエントリーされる。

拒否する事はすなわち己の死を意味する。
生き延びる術はただ一つ、勝つ事である。


今大会のゲストは
浦飯幽助・桑原和真・蔵馬・飛影

5人目は結局決まらず、幽助に任せることとなっている。


私は補欠として浦飯チームに参加する。
チーム内で死亡者が出れば人数にかかわらず1人補欠から加わる事になる。
ただ私は絶対に誰かが死んでも加わらない事を前提での参加。

基本は試合時のみんなのサポートという名の治癒目的。
試合中に治癒能力を使ってはいけないルールはない。

いざとなれば10カウントの間にだって治してやる!!
私は誰も死んで欲しくない。
誰が怪我をしても、自分の全妖力を使う事になっても治す。
そう心に決めていた。

 

 

 

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「豪華過ぎませんかね???」


私はホテルに入ると思わず特防隊の大竹さんに声をかけた。

「すごいですね。さすが裏社会の人間達のあつまりです。」

大竹さんと一頻り感動を共有して、チェックインを済ませて部屋まで送ってもらうと、隊員にお礼を言って私は部屋へと入った。


浦飯チームには2部屋用意されていた。

どちらも4人泊まれる部屋。
ツインのベッドルームが二つに、リビングが一部屋。
リビングも大きなソファーにテーブル。

冷蔵庫に小さなキッチンまで付いている。

私はソファーに横になると目を閉じた。
覚醒した日以来久しぶりに袖を通した癒術師としての正装。

少し癒術師の正装に違和感をおぼえながらも、これが本来の姿なんだからしょうがないと言い聞かせていた。


率直にいえば…
エロいかもしれない。

人間界で言う昔の花魁さんに近いかもしれない。
白い着物の襟は黒の半襟が付いていて、守護者との契約刺青が見えるように大きく胸元まで開いている。

そして帯は黒に私の象徴の蓮の花が白く刺繍されている。
蝶結びのたれ帯、その上に赤い兵児帯。
結び目は前にある。
白に黒い鼻緒の下駄。

裾着物の裾は動きやすい様に膝から下が裾にかけて身頃が開いていて膝から下の足が見える。

同じ着物の雪菜ちゃんとは全く違う印象。


そんな事を考えていると私はいつの間にか睡魔に襲われて眠ってしまっていた。

 

 

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