「ポーが24才だとおおおお!!!?」
朝御飯。
飛行船の食堂に、レオリオの突拍子のない声が響き渡った。
「信じられん……てっきりクラピカと同じくらいか、少なくとも年下だと思ってたぜ」
「驚きすぎ。だいたい、レオリオが10代っていう衝撃の事実よりはましでしょうが!」
「確かに。私も、それについてはいまだに信じていない」
「んだと、クラピカ!そう言うお前はいくつだってんだよ!」
「17だ」
若いなあ……。
「へー、24才だったら、たしかミトさんと同い年だよ?」
ズキッ!
「ミトさんて、ゴンの育ての親だろ?」
「うん!」
ズキズキッ!!
「ふーん。ポーって、見かけよりけっこうおばさ………ヒッ!!?」
練っ!!!!!!!!!!!!
悪意をこめた念を送ってやると、キルアは水に落っこちた猫みたいな顔をして固まった。
「カタカタカタ……(こら、ポー)」
「はっ!?」
いつの間にやら背後にきていたあのひとに、犬猫のよーに首根っこをひっつかまれてしまう。
トスッ、と落とされたのは、窓際のテーブル席だ。
「おはよ☆」
「ヒ、ヒソカさん……おはようございます。なななんでいきなり席移動……?」
「カタカタカタカタ……(ポーがこれ以上、ひとの弟に変なまねしないようにね)」
弟って……イルミ兄さん、それを教えてくれるのか?
「キルアのこと?」
「カタカタカタカタ……(なにそれ、白々しい。どうせ、このこともヒソカから聞いてるんだろ)」
「……」
ヒソカさん、お願いだから黙ってて下さい……!!
「ううん☆ボクは言ってないよ」
この鬼畜ピエロ!!!!
「カタカタカタカタ……(えっ、ほんと?まいったなー、余計なこと知られちゃった。俺が試験に参加してるってこととか、キルにバレたら本当にまずいんだけどなー)」
「言いません!言いませんから!!」
スココーン!!
「いたい!!!」
「カタカタカタカタ……(約束。ポーは何度言っても学習しないんだから、ほんと出来が悪いね。キルとは大違いだよ)」
グサリ。
「24才をおばさん呼ばわりしようとするようなデリカシーのないちびっこと比較するなあ!!」
「ポー、ポー☆今の、ギリギリの線だよ。キミの顔がグチャグチャになっちゃうのは見たくないからさ、少し黙って☆」
「むぐ!」
フォークの先に突き刺したホットケーキをひと欠片(しかも、ハチミツがたっぷりという甘党具合)、私の口に押し込むヒソカ。
おおう、見ると、イルミの手にはしっかりとエノキが握られているではないか。
危ないなあもう!!
「だって……だって、レオリオは盛大に驚くし、クラピカは固まるし、ゴンは私と育て親のミトさんが同い年だって無自覚に虐めるし、キルアにいたっては確実におばさんって言いかけてたし……!!わかってるんです、自分がもう若くないことは。ヒソカさんに青い果実青い果実言われるたびに、後ろめたい気持ちになってたんです……!!」
「そうなの?大丈夫☆ポーはまだまだ伸び盛りじゃないか。熟しきっても、腐ってもいないし、すごくおいしそ―――」
ドッス!
「カタカタカタカタ……(おっと、ホットケーキと間違えてヒソカの手のひら刺しちゃったよ。ははは、ごめんごめん)」
わざとだ……。
結局、私の分の朝食はこっちのテーブルに運ばれてきた。
仕方がないので、観念して頂くことにする。
焼きたてのホットケーキに、ベーコンエッグ。
サラダにスープ。
デザートにはプリンまで。
ハンター試験、意外と充実してるなぁ……。
次の試験会場には、昼前につくらしいと知らせがあった。
食後のコーヒーを飲みながら、(こちらも、ミルクあり砂糖ありのもはやカフェオレと化したものを)イルミが言った。
「カタカタカタカタ……(次の試験だけど、ポーはなるべく俺と一緒に行動すること)」
「え……っ!?」
「カタカタカタカタ……(……なに、その反応。ポーは俺に弟子入りしたんだろ。弟子が師匠の側にいるのは当然だと思うけど)」
ううう……まずいなあ。
オーラを触手に変える発なんて、見せると色々うるさそうだから、しばらく一人でこっそり練習しようと思ってたのに……!!
「カタカタ……(返事は?)」
「……はい」
ええい、いいやもう。
なるようになれ第二弾!!