20 ギリギリ!×窒息?×小休止!!

 

 

 

 

 

 

「ただいま☆死の路なんて、大層な名前だからどんなものかと思ったけど、期待はずれもいいところさ★食後の運動にもならなかったよ……って、二人とも何してるの……?」



「ヒソカさんっ!助けて――!!!」



「おかえりー。ポーってば酷いんだよ。初めて発が使えたのに、それがどんな能力か、師匠である俺に教えてくれないんだ。だから、身体にきいてみようと思って」



ギリギリギリ……ッ!!



イルミが船の舵みたいな形のハンドルを捻るたびに、連動して私の首や手足、ウエストに取りつけられたバンドが食い込む。



X型の拘束器具に貼りつけにされている私……。



「なにそれ。楽しそうだなぁ、ボクも混ぜておくれよ☆」



「ダメ」



「いたい!いたいいたい!!いたいからやめてってば!!」



「まだそんなに声が出せるの?ふうん、ポーの念は防御に向いてるんだね。普通の人間ならとっくに血が止まって窒息してるレベルなのに」



「成長したねぇ☆たった二日間の成果なら優秀じゃないか」



「及第点だね」



ギリギリギリッ!!



「ぎゃあああああ!!」



「……さてと。そろそろ白状する気になった?」



「――っ、ヤダ!!」



「……」



「だって、まだちゃんと形になってないんだもん!なんか、書きかけの論文提出するみたいで嫌っ!もっと研究して観察して検証して、イルミにもヒソカさんにも、ちゃんと自分で納得いくまで完成させてから見て欲しいの!!」



「ダメだよ。それだと、もしも致命的な欠点があっても修正が入れにくくなる」



「致命的な欠点なんて作らないもん!!!」



「……そう。ポーはどうしても俺の言うことが聞けないって言うんだね」



ガッ!



ハンドルにかけたイルミの手に力が入ったとき、私の身体を締め付けていたバンドが全部切れた。



ヒソカだ!!!!



「待って、イルミ☆そういう話なら、ボクはポーの味方だよ」



「……」



「キミはポーの念の師だ。けれど、ポーの念はポーのもの☆どんな形に生み出すか、完成させるかはポーの意思に任せるべきだよ☆他人に押しつけられた形になんて、強い意思は宿らない」



 「たまにはいいこと言う!!」



「たまにはは余計だなぁ☆」



ピャッ、といそぎんちゃくに隠れるクマノミのよーに、ヒソカの背中にひしとしがみつく私に、イルミはやれやれという視線を投げた。



「仕方ないなあ。甘やかすのは今回だけだからね?」



「うん!ありがとう、イルミ!」



「……」



「――で、次の試練はどうする?」



ああ、そうだ忘れてた。



「次はたしか、針の路でしたっけ?」



「うん。次は俺が行くよ」



「だねぇ☆針と言えばイルミのイメージだ」



「それとも、ここはポーに行かせて、手っ取り早く発の正体を見るべきかな?」



「イルミが行って!行くって言ったでしょ!殺し屋に二言はないの!!」



「えー、あるよ?いっぱい」



「じゃあ男に二言はない!はい、いってらっしゃい!!」



バタン!!



有無を言わさずイルミを引きずり、試練の扉に放り込む。



「ポーってさ、勢いで時々スゴいことするよね☆」



「へ?」



「ううん、なんでもない☆さ、ボクらも行こうか?」



「はい!」