21 チクチク!×レーザー?×針の道!?

 

 

 

 

 

ヒソカと手を繋いで(さっきみたいに落っこちかけたらいけないからね☆という強要による)、次の試練の行われる部屋に入った私は、飛び込んできた光景に愕然とした。



イルミが闘っている!!



といっても、相手は人間じゃない。



壁や天井、床にとりつけられたレーザーだ。



イルミは上体をそらしたり、捻ったり、まるで踊るようにしながら全ての攻撃を避けているけれど、道は万華鏡のように鏡張りになっているから、一度放たれたレーザーは鏡面に反射して何度もイルミを襲う。



これじゃとても前にすすめない!



「イルミ!!」



「ふうん。恐らくこの壁だけマジックミラーになってるんだねぇ☆向こうからはこちらの様子は見えないんだ☆それは好都合……☆」



すかさず後ろから抱きしめてくる変態ピエロを、肘鉄で撃退。



「やってる場合ですか!!イルミが……イルミが穴だらけになって死んじゃう……!!!」



「だ……大丈夫☆こんなの、彼にとっては日常茶飯事だから」



「でも!!」



「見ててごらんよ☆」



ほら、とヒソカの指先を見ると、レーザーの放射孔にエノキが生えている。
イルミの針だ!



「あんなの、レーザーで溶けちゃうんじゃ……」



「ああいう機械は、かなりデリケートなんだよ?空調の完備された、限られた空間でないとまず正確に作動しないしね☆でも、もったいない。あれ1つ何億って値段がしそうなのに☆」



嬉しそうにヒソカが言った瞬間、全てのレーザー攻撃がやんだ。



プシュー、とゴールの扉が開く。



……どうやら、これ以上高額の備品を壊されちゃ堪らないと踏んだらしい。



「それなら最初から使わなきゃいいのに……」



「全くだ★」






       ***






「や」



試練の路から休憩室……と化している拷問部屋に入ってきたイルミに、ヒソカはおつかれ☆と振り向いた。



「……何してるの?」



「ん?いや、ポーが鞭の打ち方を知りたいって言うから、教えてあげてたんだよ☆」



「ふーん。なんで?」



「知らない☆」



ビシュッ!!



手首の捻りを加えるタイミングが、やっと掴めてきた。



これならいける!



鞭の先が遠くの棚にあるナイフの1つに巻きついて、正確に手元に戻ってくる。このイメージ……。



「お見事☆さっき教えてあげたばかりなのに、もう十発十注でとれるようになったね☆じゃあ、次はいよいよ犬やブタや奴隷のいたぶりかたを……」



「それはいいです」



スパッと切り捨て、



「イルミ、次の試練は私にいかせて?」



「ほんとに行くの?まだ発の能力は完成してないんだろ。俺かヒソカが二回行ったって構わないんだよ?」



イ、イルミが優しい……。



「なに、この手」



「熱でもあるんじゃないかっていでででででっ!!!」



失礼だなーと間延びした声で言い難ながら、なおもイルミは私のほっぺたをつねりあげる。



「ぎゃあああああ!!」



「中途半端で死んで欲しくはないんだよ。今ポーが死んだら、結局、どんな能力だったんだろうって、ますます気になるじゃない」



「結局それかい!いいのっ、行くって言ったら行くんだから。さっきから試したいこともあるし」



「試したいこと……ねぇ☆もしかしてその鞭も関係してるのかな?」



勿論。



うなづくと、ヒソカは益々笑みを深めた。



「楽しみだなぁ☆ねぇ、イルミ。ポーに行かせてあげようよ。どんな力を見せてくれるのか、スゴく興味がある☆」



「しょうがないなあ」



いいよ、行っておいで。



背中を押してくれたイルミに、私は心からありがとうを言った。